Guitar Repair of the Day
Fender Stratocaster
フェンダーのストラトキャスター。
90年代の個体です。
ヘッドトップが欠けてしまっていてポットも動かない状態で音も出ませんでした。
不思議なもので何十年弾いていなかったギターのボリュームポットが、全然問題無く回って動作する物もあれば、白い結晶のようになって固まってしまう物もありますよね。
保管してあった環境の違いで差が出るのかもしれません。
USA産、国産問わず固まってしまうポットはあるのですが、共通しているのは「湿気」。
亜熱帯沖縄に来る前は考えもしなかったギターと科学。
学生の頃に習った「イオン化」。
金属がイオン化(酸化)すると錆びが生じます。
イオン化(酸化)されやすい順番として、
K:カリウム
Ca:カルシウム
Na:ナトリウム
Mg:マグネシウム
Al:アルミニウム
Zn:亜鉛
Fe:鉄
Ni:ニッケル
Sn:スズ
Pb:鉛
H:水素
Cu:銅
Hg:水銀
Ag:銀
Pt:白金
Au:金
の順。
地域によって水、雨、大気にマグネシウムやカルシウムの多い地域は酸化する事によって、結晶化される物もあります。
またパーツに使われている素材がアルミや鉄の物は錆びやすいです。
線材などは銅が使われているので比較的錆には強いです。
フレットは銅・ニッケル・亜鉛の合金で洋白と呼ばれる合金。
銅の割合が多いのであまり錆びませんね。
湿度が60%を超えると、鉄に水分が付着してくるので楽器には大敵。
酸化しにくい鉄と酸化しやすい鉄が触れ合うと腐食が促進されるので、一方に錆びが生じます。
ボリュームポットなどは、金属部分がメッキ化されている場合が多いのですが、緩み止めに使う菊ワッシャーなどに三価ホワイト加工された物を使用していると、そこから酸化が始まったりもします。
一番ベストなのは、こまめにピックガードやキャビティの中を開けて状態を確認し、クリーニングやメンテナンスを行う事が大事。
特に沖縄は平均湿度環境が60%を超えるので、全ての部分に水分が付着していると考えて下さい。
クロスで毎日ふき取るだけで、長期的には良い状態で保管出来ます。
回らないポットとガリだらけのスイッチ。
なぜか国産の500KΩのポットが付いています。
(シングルコイルは基本的に250KΩのポットを使用します)
今回はBourns製の250KΩのポットへ交換。
ポットは表面のメッキを剥がしはんだ付けしていくのですが、なるべく接地の面積を少なく作業します。
同時にナットも交換。
見ての通り、指板に接触しそうな位、溝が低くなっています。
牛骨を削り出し
溝にぴったりと加工します。
弦高調整、トラスロッドの調整をして完了。
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