GRECO 70’s Les Paul Type
Guitar Repair of the Day
GRECO 70’s Les Paul Type
グレコのデタッチャブル式、LPモデル。
楽器修理のゴールは壊れた状態を正常に戻す事なので、作業は基本的に非常にシステマティックで機械的です。
但しその”修理”を行う状況に至るまでに、1本1本それぞれのストーリーがあって、持ち主の思い入れと同時に直す側も気持ちが入る事もあります(修理の出来は変わりませんが^^)。
初めて買ったギター、散々弾き倒した10代・20代、仕事が忙しくなって押し入れのどこにしまったのかも忘れていた30代、結婚して子供も大きくなってきた40代、そろそろ人生の後片付けを始めだす50代、いらない物を整理・処分して子供たちに残すものを選別、さて初めて買ったギターはどうしますか?
何十年ぶりに押し入れから出したものの、ネックは曲がり、指板は剥がれ、音も出ないジャンク状態。もし直せるものなら綺麗に戻して子供に残したい。
年々そんな依頼が増えていますが、このギターにも40年分のストーリーがあるようです…
指板・フレット状態
フレットはご覧のようにまっ平。
問題は指板。
大きく裂けめが入っていました。
スクレーパーを入れると・・・
簡単に剥がれてしまいました。
トラスロッドが腐食していて、結晶のようになっていますね。
指板接着
なんとかこの指板を生かして利用するとして、一旦フレットを抜きます。
結晶化した段差を取り除き、ベルトサンダーで面を出します。
ネック部、指板面共に平面が出たので接着してみます。
接着剤を塗って、両端を固定し
隙間無くクランプで固定します。
ヘッド 塗装
その間にボディのクリーニング。
一旦パーツを外して、研磨後オーバーコートします。(トップ塗装を重ねる事)
ネックも研磨した後、再塗装。
かなり綺麗になりました。
指板調整
指板も問題なさそうなので、フレットを打ちこんでいきます。
ネックジグにかけて、指板のストレートをチェック。
ストレートに研磨して接着したとはいえ、弦を張ると隙間があります。
ネックジグの上で研磨します。
アールを12インチに設定。
スケールに合わせて研磨します。
ほぼストレートが出ました。
ネックジグにかけている間も、ネックの変動があります。
やはり一度指板が剥がれた状態で何十年も放置されていたので、木に曲がり癖がついていて弦を張ってテンションを掛けると、思ってもみないほうに曲がってきます。
何度か研磨を繰り返しました。
フレット溝も一旦切り直し、深さをチェック。
フレット準備
今回はStewMacのフレットを使用。
指板のアールに合わせてフレットを曲げます。
指板にバインディングが巻かれているので、フレットをタングニッパーで成形。
フレット打ち込み
22本 切断
フレットプレスで打ち込んでいきます。
プレスを2台使用。
全て打ち終わりました。
フレットすり合わせ
指板のストレートを確認して
フレット上をストレートに研磨します。
サイドも仕上げ完了。
ポット交換
ポット類も全て交換。
ナット製作
ナットを作って弦を張り、完了。
ビフォー/アフター
この状態から
バフ、研磨を終えてピカピカになりました。
これなら譲り受けた息子さんも、大事に使ってくれると思います。
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