Guitar Repair of the Day
James Taylor Guitars – Studio Elite
80年代から現在まで、一度は耳にした事があるジェイムステイラーのギターサウンド。LAのスタジオミュージシャン達が奏でてきた粒の揃った立ち上がりの早いバッキングサウンド。
音から分かるように、ギター自体が非常に丁寧に作られています。
今回はネックの調整とフレットの擦り合わせ。
ポジションによって減りの大きい部分があります。
いつものようにネックジグを使用して、フレットの高さを均等にします。
ギターをネックジグにセットしたら、トラスロッド調整にてネックの反りを直します。
弦を張った状態でゲージのつまみを 0 にセッティングし、弦を張った状態のネックを記憶させます。
弦を外すと弦によって引っ張られていた(順反りになっていた)ネックのテンションが緩み逆反り気味に曲がります。
そこを、弦を張ったようなテンションを掛けて(ネックジグについた支えで)つまみが 0 になるように調整します。
この状態で、弦を張った時のネックの状態と同じになるので、デコボコになったフレットをヤスリにて研磨し、フラットにします。
研磨しフラットになったフレットは、台形のような形状になっていて、このままでは弦に触れた際に、潰れた平面のフレットに弦を押さえつける事になります。
そこで、この三角ヤスリを使って、台形になったフレットトップを、少しづつ角を取り丸い形状にします。
この三角ヤスリの他にも 角だけ取れるフレット用のヤスリもあるのですが、それだとフレットトップも削れる事があり、せっかく揃えた高さにバラツキがでてきます。私の場合この三角ヤスリで、時間を掛けて少しづつ 角を取って丸くしていくほうが、高さを揃えたまま綺麗に仕上げる事が出来ます。
一つ一つ削って、このように丸い球状に仕上げます。
左が研磨前の曇った状態。 右がスチールウール、研磨剤にて磨いた状態。
フレットを一つ一つ磨いて、指板もオイルを塗ってクリーニングします。
コントロール部分は、ボリュームポットにガリがあったので、依頼者の希望に沿って交換。
シングルピックアップのレイアウトが独特なので、中のザグリも変わっていますね。
ボリュームポット交換前の配線。
ボリュームポット交換後。
配線も綺麗にまとめました。
ペグはロック式がついていました。
擦り合わせ、研磨の終わったフレットは、段差も無く、揃っています。
よく使用するポジションのフレットが減って低くなると、コードのチューニングが微妙に合わなくなってきます。
当店ではネックジグにて弦を張った状態と同じテンションにて研磨を行った後、弦を張り各コードのボイシングをチューナーで計測していきます。
微妙な揺れがなくなるよう微調整するので、本当に気持ちよくコードが鳴りだします。