Guitar Repair of the Day
YAMAHA compass CPX-15
ヤマハのCPXシリーズの中ではかなり高級機種だったコンパス。
ヘッドにコンパスのインレイが施されポジションマークは船の信号旗柄。
かなりフレットが減っていたので交換の依頼でした。
古くなったフレットを全て抜いて
ガタついた指板面を元のラジアス(アール、ラウンド)に合わせて研磨します。
元のフレットのサイズとほぼ同じフレットをラジアスに合わせて曲げます。
フレットプレスは簡単で便利にフレットを打ち込むことが出来るのですが、指板のアールとフレットのアールを完全に一致させて適度な強さでプレスさせる必要があります。
場所によっては、ラジアスに合ったヒートンを使いハンマーで叩いて、部分部分浮いたところを修正していきます。
このようにプレスが使えない場所は、写真のような治具にてフレットを打ち込みます。
最後のほうのフレットはサウンドホールの中からプレス。
プレス後、フレットの浮きが無いか徹底的にチェックして、サイド処理へ。
専用のヤスリにて、斜め45度に研磨し、その後1本1本丁寧に角を仕上げていきます。
これら一連の作業は、ネックジグにかけながら、弦を張った状態と同じテンションをネックにかけて行います。
ネックジグ上にて、打ち込んだフレットのバラつきを揃える為、研磨します。
全てのフレットの高さを合わせるために上面を研磨して、角を専用ファイルで整え
フレットの山を尖らせるように処理し、スチールウール、コンパウンドにてピカピカにします。
フレット交換とは別に、トラスロッドを動かしていたらネック裏にヒビが入ってしまった、と言うので見てみると薄っすら塗装面まで亀裂が入っていました。
外からでは無く中から入ったクラックなので、補強材を入れて再塗装することに。
現在フレット作業、ネック折れ作業を担当しているのは、今年3月にESPギタークラフトアカデミーを卒業して4月から働いてくれている新人スタッフ 高井空くん。
毎週毎週持ち込まれるフレット系、ネック折れ系のスペシャリストです!!
バースト仕上げの塗装処理は、本当に上手いです。
掘削、削り出しは、ドレメルやトリマー、ルーターなどケースバイケースにて色々使い分けてます。
今回は表面が割れて折れたわけではないので、トラスロッドの下、ヒビの根本を探すべくドレメルで掘削していって、ヒビの始まりまで掘りました。
なるべく木目の近いマホガニーで補強を行い、しばらくクランプします。
今回のアコギのフィニッシュは、シースルー艶なしだったので、何段階か塗装を分けて徐々にバーストさせました。
少し木目を足してからサンディングシーラーで高さを合わせます。
その後何種類かの染料で軽く色合わせ。
薄く始めて、その後違う調色のバージョンを塗り重ねます。
木目が潰れない程度に、色が濃くならないように時間を掛けて塗装。
元のカラーに合わせ、サンバーストのようにグラデーション処理しました。
毎週、毎週増えるネック折れリペアですが、ネック折れ専用の治具も増えて、またネック折れ用のツールもかなり増えてきたので、数本は同時に行えます。
とは言っても、ネックは急に折れるわけではないですよね^^
突然折れた、ヒビが入ってしまった時は、すぐに弦を外してお問い合わせ下さい。
中には、修理不可能だと思って、修理費用が高額になると思って、弦を張ったままケースに入れて15年経ってしまいました・・・なんてお客様もいます!!
時間が経てば経つほど、修理の難易度が上がり修理費用が高額になります。
店頭にてご相談頂ければ、その時行っているネック折れの事例・過程を見れると思います。
ネック折れは どんなケースでも ご相談 下さい。