Seagull アコースティックギター
Repair of the Day
Seagull の Artistシリーズ
ピカピカなグロス仕様の塗装に対し、このようなマットな艶消しタイプの仕上げ。
各社共にラインナップが多いです。
塗膜を薄く仕上げられるので、厚い塗膜でトップの鳴りが妨げられる事が無いという謳い文句。
ボディトップ状態
トップが波打っていてブリッジにも隙間が。
真ん中も。
エレキは有名メーカーもJapanモデルを生産していて、アジアマーケット、また日本の環境に合わせた仕様で販売されています。しかしアコギは日本仕様はあまりみかけませんね。
各メーカーの生産台数に対する、対日本輸出量の総数は分かりようもないですが、北米のギターメーカーであれば、日本での売り上げ台数は無視出来ない本数になると思います。
勿論、北米生産のギターはアメリカ、カナダでの生産、販売、実績に伴ってブランディングを構築しており、日本での人気もそれらの歴史の積み重ねに伴っています。
但し、北米にて作られたギターが日本の高温多湿環境で販売後にどうなっていくのか?これらのマーケットデータに基づいたモデルが生産される事が少なく、日本でギターを販売、管理するのは難しいという事の裏付けな気がします。
勿論、沖縄のような亜熱帯エリアは全ての保証から外れた “対象外エリア” でして、決して北米での実績や本土で一般化しているギターについての情報は100%で呑み込まないようにしなければ・・・
ブリッジ剥がし
先ほど、北米仕様のギターを日本で使うには?を述べたのは、アコギに限って、トップの歪み、ブレーシングの剥がれ、ブリッジの浮き・剥がれ、に共通するものはないのか?を考えたからです。
修理に来た本数の統計を取ってみないとですが、塗装のフィニッシュ具合によって歪み、変形、捻じれ、浮きは起こるのか?
薄いフィニッシュのギターは鳴りはいいが、高温多湿の環境でボディはどのように変化するのか?
中には新品で買って沖縄に運んで1週間で、ありえないほどブリッジ付近が浮いてきたギターを見ました。
それも塗装は吹きっぱなし、バフ無し、薄薄仕上げのギターだったような・・・
まあ、あくまでも修理を受けている体感上の話。
ただ、かなりの割合ですけど。
これがなんと横から見てみると、こんなにも変形しています。
そりゃ真ん中に隙間が出来るわけですね。
ブリッジ接着
両面フラットにしました。
フィッシュグルーを少し多めにつけ、ピンで固定。
位置が決まったらクランプしていきます。
1週間位置きました。
問題無く くっついていますね。
ブレーシング
このようにボディが変形してきたのはブレーシングが外れたせい。
ほぼ全ての個所のブレーシングに隙間、浮きがありました。
もうスッカスカ。
スクレーパーを入れなくても分かりますね。
サウンドホール近辺は端っこが浮いています。
ブレーシング接着
中はこんなクランプで固定。
弦高は2.5mm位。
かなり良くなりました。
但し、絶対してはいけない事。
これはしなければ重症から軽傷に抑えることは出来そうです。
絶対してはいけない事、しながら保管していませんか?
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