UREI 1620
Repair of the Day

UREI 1620 DJ Mixer

沖縄のクラブのDJミキサーは圧倒的にRANEのミキサーが多く、主にヒップホップやオールジャンルのクラブで使われる場合が多いです。
RANEは縦横フェーダーで左右のタンテをミックスする一般的なタイプのミキサーです。
ハウスやテクノの場合、前の曲と次の曲を繋げるのに徐々に徐々に長いミックスで合わせる事があります。
その為縦横フェーダーが搭載されたミキサーでは、抵抗カーブにより繋がりが不自然に合わさったりフェーダーのトルクが軽い機種が多いのでレベルの調整が難しいです。
ハウスではその代わりに、トルクの重いロータリーポット(可変抵抗器)を両手で回しながら2曲をシームレスに合わせるのが特徴です。
沖縄では中々ロータリーのミキサーが常設されている小屋も少なく、また他のジャンルのDJ同志が使いまわせる機材でも無いので中々目にする機会も少ないかも知れません。
なのでお店のDJブースにセットされたUREIを見て「これ何ですか?」って聞く若いDJも多いです(笑)
と同時に、こんな化石のようなロータリーミキサーを発売から30年間経っても大事に使用しているDJさんが多くて嬉しいですね。
UREIの修理はもっぱら沖縄県外からの依頼が圧倒的に多く、メンテナンス、トランス交換、基盤修理、電源回路改造などが多いですが、一番多いのがRCAジャック、XLRジャックの交換です。
今回はメンテナンスと同時に、出力しないアウトの修理、RCAジャック交換、XLRジャック交換、などを行いました。
状態チェック

先ずは中を開けてみましょう。

UREI1620の出力は、メインのハウスアウトとモニターのブースアウトの2系統あります。
ハウスアウトは写真のトランスを経由して600Ω出力されます。
これが独特のコンプレッションサウンドになり、入力ソースに関わらず似たトーンになります。
うちのお店にもかなりの台数の出力トランスを在庫していましたが、段々少なくなってきましたね。
ブースアウトのRCAが切れています。
ただはんだ付けしても出力されません。
基板チェック

回路はいたってシンプルです。
この年代のUREI1620であればオペアンプはTL084では無くローノイズタイプのTL074が載っているものもあります。でも写真のように右2つは交換されているようです。
多分電源部のコンデンサなども交換された形跡があるので、適正電流が戻りオペアンプが故障したのかもしれません。
オペアンプ交換

一旦取り外してソケット化します。

基盤のはんだ除去の際、写真のようなはんだ吸引機があると綺麗にはんだが取り除けます。
スピードも段違いに早く処理でき、プリントの剥がれも無く作業出来ます。

サクサクはんだが吸い取れます。
ソケット化

ソケット化する利点は、様々なタイプのオペアンプを比べる事が出来るのと、オペアンプの出力マッチングを聞き比べできる事です。
壊れた時にサッと入れ替えも出来ますね。

TL084、TL074はいくつかの在庫があるのでレベルの合った物をチョイス。

これで出力が戻りました。
ループ部 バイパス

今回はメンテナンスを兼ねて、なるべくノイズが少なく、劣化が少なく、との事だったので、使う事の無いエフェクトループ部分はバイパスし、基盤上で直結しました。
エフェクトループのインとアウトにパッチケーブルを繋げるよりも、はるかに接点端子も少なくクリアになります。
入力 RCAジャック

RCAの入力パネルです。
長い事抜き差ししてきたので錆びや汚れが付着しています。
ガリや音切れの原因になるので、全て交換します。

純正は全て赤ですが


左右が分かり易くなるよう、白と赤のRCAジャックに交換しました。
HOUSEアウト XLRジャック

ハウスアウトのXLRジャック。
これを機に、スイッチクラフト製のXLRジャックに交換しました。


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