Guitar Repair of the Day
Martin D-35E
マーチンのD-35E。
バインディングが剥がれ、トップが膨らんでいて、裏板から異音がして、弦高も高い・・・
沖縄では本当によくある症状。
ブレーシング(ボディ内にある力木)が浮いてしまう症状。
スクレーパーを入れると隙間が見られます。
まずはトップ板をクランプして矯正し、ブレーシングの浮きは接着し直します。
ボディの矯正を時間を掛けて行い、ある程度歪みを取り除きます。
数年かけて変形した木部は、短時間のクランプでは完全に元通りにはなりません。
今後もこれらの作業を繰り返しながら保管環境を整え、変形が急激に進行しないようコンディションを整える必要があります。
ケースにて保管していて、開けたらバインディングが剥がれていた。
よくある症状ですが、ただバインディングの接着が取れてしまったわけではありません。
このくびれた部分に歪みが出ているという事は、他の部分に負荷が掛かっているという現れです。
塗装も薄いし、接着方法を考えると剥がれやすいのかな、とは思いますが、沖縄でマーティンを所有している方のリペア事例では、非常に多いケースです。
接着剤を塗布し強力なテープで抑え込んでいきます。
少し広めに補修。
接着が完全に乾いた状態。
ここから余分な接着剤を落とし、段差を取っていきます。
完成後。
全く継ぎ目は無くなって元通り。
沖縄でのギター管理は価格の高いギター、安価なギターに関わらずとてもデリケートで維持費が掛かります。
どのギターが沖縄の気候に強くてどの価格帯が合わない、というものでも無く、丁寧に環境を整えた場所で適切に保管すればコンディションを保つ事が出来ます。
「湿度が多い沖縄ならケースに入れて置けば問題無いですよね?」という質問を多く頂きます。
それでは湿度が低く温度が高い日のケースの中はどうなっていると思いますか?
沖縄は年間通して湿度が高いのも問題ですが、湿度差が大きいのも問題なのです。
ケース内で20%から80%を行き来している状態はギターにとっては最悪の環境です。
問題無いと思ってケースに入れっ放しにしておけば、バインディングは浮き、ブレーシングは浮き、トップは変形していきます。
必ず湿度計を置いて状態を確認しながら保管して下さい。
アコギの修理、リペア、メンテナンス 等は是非ご相談下さい。
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