Amp Repair of the Day
YAMAHA THR10
ヤマハの小型モデリングアンプ。
電池で動作する小さくて持ち運び便利なギターアンプ。
不幸にも落としてしまい全く音が出ないとの事でした。
インプットジャックの辺りが凹んでいます。
この辺りから落ちたのでしょうか?
ギターの修理の場合、店頭にてお預かりする際に、病院の問診のように細かく状況を聞いていきます。
事故の検証と一緒で、いつ、どこで、だれが、どのように、壊した(壊れた、傷ついた、音が出なくなった)かを時を遡っていく事で、見えてくるものが多くあります。
プロファイリングとはいきませんが、ネック折れなどの場合、どの角度から倒れたのか?折れた箇所以外に新しい傷、凹みがあるか?
それらを見つけて倒した時なの状況を想像し、当たった角度、衝撃の強さなどから、目に見えない木部の内部の割れ、傷をイメージする事が出来ます。
アンプなども、音が出なくなった時の状況を細かく説明頂く事で、内部を開けずに判断出来る事もあります。
さて今回のアンプ。
ギターからのシグナル無し。
AUX入力も音が出ない。
という事はパワー段の故障か?
インプットの筐体がかなり凹んで曲っているので、かなり強い衝撃がかかったはず。
落としたのでコネクターが外れてるだけかも?
この場合は開けないと分からないですね^^
中を開けてみると・・・
なんとインプットセクションの基盤が真っ二つに裂けていました。(かろうじてくっついてる)
(写真の黄色い丸の部分)
したがって、ギターもAUXからの入力も、基盤の入力信号のラインが切れていて音が出なかったのです。
拡大してみると、細かくプリントが切れています。
前にもやりましたが縫合手術開始。
前は キーボード でしたね。
切れた基盤の左側と右側のそれぞれのラインを一つずつワイヤーで縫合。
MOGAMIの32GAでポイントトゥポイント配線。
全部繋ぎ終わって音が出る時は感動します^^
ギターもAUXも問題無く出力されました。
テストがてらこのアンプを弾きこんでいると、不思議な感覚が。
AUXにiPhoneからの音源を入れて、曲に合わせて弾いてみると、モデリングされた音色がmp3の音源ととてもよく混ざり合っています。
その様子を聞いていたお店のスタッフも、音源なのか弾いているギターなのか、聞き分けられない部分も!!
リアルタイムで音源とギターをミックスされたようなトータル感。
いやー、よくできたアンプですね。
これ、何時間でも弾けますね。