Martin GPCPA4
Repair of the Day
Martin GPCPA4
マーチンの新世代モデル GPCPA4。
同時期に発売されたDRSGや000X1AEなど、ローズウッドの代わりにリッチライトやシリスなどの新素材を用いたモデル。
2016年の発売なので約3年。
体感的にはマーティンの修理依頼の中でも持ち込まれる本数の多いモデル。
じゃあ沖縄の気候に合わないのか?
とも言えず、根本的には「どのような環境で どうやって保管しているか」が重要だと思います。
ただ発売から3年の若いギターで沖縄の気候に慣れるまでには時間がいるのかも知れません。
リペアに持ち込まれるそのどれもが、トップ板の浮き、ネックのねじれ、ブレーシングの剥がれです。
今回のギターはその3つに加え、フレット浮きも。
ボディトップ 膨らみ
弦高が高くなったかも?と感じたら ブリッジの後ろ当たりのトップ板をチェックしてみて下さい。
ブリッジ付近を中心に盛り上がっていたら、トップ板が変形しています。
本来水平にフラットに作られている表板ですが、数十キロの弦の力で引っ張られるのでかなりのテンションが掛かっています。
その全ての力関係のバランスを保つ為に、ボディ内部には力木・ブレーシングと呼ばれる木が入っているのですが、これらが浮いたり剥がれてしまうと、横板、表板に歪みが生じてきます。
ブレーシング(力木)接着
今回も裏板のブレーシングが外れておりました。
全て接着します。
ネックヒーター
次にネックの歪み。
一概には言えないですが、1弦側のローフレット側に詰まりがあって、6弦側の7~12フレット辺りの弦高が上がっていると感じたら、捻じれている事が多いです。
また1弦側ローフレットのネックと指板の間、バインディングにデコボコや浮き、膨らみを感じた場合も、ネックが歪んでいたり曲がっている可能性があります。
全て完璧に直るわけでは無いのですが、ネックヒーターを行う事で指板とネックの間の接着が溶け、圧を加えながらフラットに再接着する事によって少しだけ戻る事もあります。
これらは接着剤の種類、方法などにより、うまくいく場合と変化の少ない場合とあります。
今回は捻じれによって極端に逆反りになったいたケースなので、かなり改善がありました。
ナット交換
9~12フレット近辺に隙間が出来ました。
但し、フレットのデコボコもかなりあるので、この後すり合わせを行います。
その前にナットを交換。
底面をフラットにぴったり仕上げます。
フレットすり合わせ
溝は仮程度に調整。
ネックジグにセットしすり合わせ開始。
全体を均一に揃えます。
頭を削って平になったフレットトップを、丸みをつけるため角を落としていきます。
この平たくなった面の両角をヤスリで1本1本丸くします。
ラウンドを付けて研磨、コンパウンド仕上げを行ったフレット。
弦高は3mm弱まで低くなりました。
先ほどの話で、じゃあマーチンは沖縄に向かないのか?テイラーはだめなのか?
楽器の状態が悪くなる原因は全て「保管方法」です。
適切な保管方法は、湿度の多い外気をなるべく取り込まないのが一番ですが、
まずは、現在の湿度を知る事から!!
ギターの保管には 湿度計が必須!!
アコギの修理、メンテナンスなどは お問合せ下さい。