Amp Repair of the Day
Fender Princeton Amp
1964年製のフェンダー プリンストンアンプ。
電源は入るけど全く音が出ないとの事でした。
もしこのような事になったらむやみに電源は入れず、先ずはスピーカーの状態をチェックしてみて下さい。
導通があって抵抗値が出ていれば本体内部の可能性が。
スピーカーの導通が無い場合は、外部のキャビネットなどに繋いでみて下さい。
音が出ればスピーカーユニットの故障です。
今回もスピーカーが壊れておりました。
一応内部も全てチェック。
先ずは真空管測定。
どれもヴィンテージな真空管でしたが、全て違うメーカー。
こちらはRCAのパワー管。
測定器ではかなりの劣化が見られます。
他のパワー管もほぼジャンク物。
プリ管も同様でした。
内部基盤は綺麗な状態。
但し、それぞれのパーツは劣化が見られます。
スピーカーの刻印も1964年。
55年経過しています。
定年して下さい。
今回はJENSEN製のスピーカーへ交換。
少し出力の大きいものにしました。
トーレックスの劣化も見られますね。
こちらも補修。
剥がれやすいコーナーはタッカーで固定。
一応音は出るようになりました・・・
フェンダーのヴィンテージアンプは年代毎に、ツイード期、ブラウンフェイス期、ブラックフェイス期、シルバーフェイス期とございますが、こちらは63年から67年に製造された通称黒パネと呼ばれる時代の物。
年代によって基盤の設計、回路図、整流方法、などに違いが見られるので、同じ系列のアンプでも音色に違いがあります。
どれが良いという基準は、劣化パーツが無く正しい電流・電圧で駆動している物であり、ヴィンテージだから音が良い、という基準の無い先入観は捨てたほうが良いです。
こちらのアンプもかなりの箇所で(フィルターキャップ、デカップリング抵抗、プリ管、パワー管、)劣化が激しく、パワーが出ないので全てのつまみを最大で使用し続け、スピーカーに負荷が掛かったのでしょう。
取り敢えずはスピーカーの交換で音は出るようになりましたが、内部パーツを変えるとオリジナルでなくなる、音が変わってしまう、との事で修理はしない事になりました。
最終的な判断はお客様が決める事ですが、55年も経ったアンプの状態は、枯れたヴィンテージの音?よりも回路図通りの数値で動いている状態のほうが、発売当時の音に近いと思います。
ちなみにこのお客様は、ギターもアンプも 相当数のビンテージ品をお持ちなのですが、いつもヴィンテージの価値観について、喧々諤々させて頂いております(笑)
ギターは年数が経った経年の音が味になりますが、アンプの劣化はパワーが無いショボい音でしか無いです。
ヴィンテージアンプの修理、改造、メンテナンス などはご相談下さい。
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